普段お店で生ハムのスライスに使用しているスライサーが故障しました。しかし、生ハムのスライサーが故障する事は決して珍しいことではありません。円盤状の刃を回転させて食品をスライスする道具なのですが重たい刃を回す上に摩擦抵抗のある食材を切る為どうしても負荷がかかりやすいからです。そのため、刃を回転させるためにゴムとプラスチック状の糸が合わさった特殊なベルトを使用していますが徐々にほつれていき異音やパワー不足が起き始め最終的に使用出来なくなります。
3年前に、同様の問題が起きた場合にはメーカーに電話をして部品を送ってもらうことで対応ができていました。そのためスライサーが全く使用できない日が発生することはありませんでした。
しかし、今回は違いました。前回と同様の症状だったため状況を確認したところやはり今回もベルトの摩耗が原因でした。メーカーに問い合わせたところ今では部品のみの供給はできなくなったと言う回答。修理にはメーカーの修理センターへ送った上に1〜2週間程度修理にかかり修理費用も高額とのこと。修理に出すとしても北海道から送るだけで往復1週間。2〜3週間の使用出来ない期間が発生し店への影響は甚大です。
現在のスライサーはお店を始めた当時、この規模の店の大きさなら必要十分と考え新品購入したものです。年数を重ねるにつれパワーや刃の大きさについて不満を感じていたのでこの機会に、今より大きなスライサーを導入し今使用しているスライサーは修理に出した上で故障時の代替え機や2台必要な状況がある際に使用する事としました。
そこから、いろいろな業者にすぐに手に入るスライサーがないかの確認をしましたが高額でニッチな調理器具のため納品までどれも1〜2週間かかるとのことでした。
そこでに思いついたのが、昨年に旭川に新たに支店をオープンした厨房機器店がありそこで以前在庫品を見たことがあったことを思い出しそこに確認を取ること。
問い合わせたところ思っていた通り在庫がありました。それを聞いて、すぐディナー営業を中止し今すぐ行けば明日の営業に間に合うかもしれない!と考えました。
すでに夜の予約がありましたがお客様へ事情を説明し旭川へ向かいました。ご予約していただいたのに大変申し訳ございませんでした。旭川へ向かい他の用事も済ませて遠軽に帰ってきてから明日から使える状態へのセッティングやメンテナンス、試運転をしたら日付が変わっていました。
何はともあれ何とか早期解決できてほっとしています。
ですが今回強く感じたのは、ここ数年で食材の物価高は本当に飲食店の存続を大きく揺るがす事態でしたが、食材だけではなく、高額になった厨房機器やメンテナンス代を考えるとレストラン側の値上げは避けられない。という現実。
この地域で初めてできたイタリア料理のレストランである当店が敷居の高い店にしてしまうと、遠軽でイタリア料理を普段から利用できるレストランに!と私が開業前から抱いていた想いから遠ざかってしまうようで7年目に入った今でも値上げに躊躇しているところ。飲食店はただ食事をとるだけではなく交流の場として大きな役割を担っていると考えています。そんな飲食店が物価高の影響で減っていったり開業を躊躇う人が増えてしまう事は非常に残念でならないので物価高が少しおさまり新しくお店が増える状況に好転してくれるといいなぁと思っています。